2019年下半期映画鑑賞総括


2019年がとうとう終わりましたね。実感がなさすぎる。体感だとまだ10月上旬ぐらいなのですが。時空が歪んでいる……

……などと現実逃避をしていても仕方がないので、2019年上半期もやった映画鑑賞総括を、下半期も。上半期と同様、観た映画の中で特に心に残っているものを20本リストアップし、各作品について自分のFilmarksレビューを引用しつつ簡単にコメントを添えます。

観た日付が古い順です。旧作のみ。

 

男たちの挽歌

男たちの挽歌 <日本語吹替収録版> [Blu-ray]

男たちの挽歌 <日本語吹替収録版> [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
  • 発売日: 2013/10/11
  • メディア: Blu-ray
 

めためたにシビれました。二丁拳銃! 偽札を燃やし煙草に火をつける! なんでマッチ咥えとんの? いいんだよカッケえんだから!!!

しかしそれ以上にシビれたのがこの作品のある種「ホモソーシャル」な空気と関係性。男同士の兄弟愛、義兄弟愛がプロットとともに二転三転して、そのなかで織りなされる彼らの愛憎劇はラストの銃撃シーン・爆破シーンよりもはるかに鮮烈です。恋人の助言や取りなしでもぬぐうことのできなかったキットのホーへの憎しみが、マークの死によって絆に変わる瞬間よ……! そこにキットの恋人・ジャッキーや、我々観客の入り込む余地は微塵もありません。ホモソーシャルな空気って、絶対に誰かを踏みつけるし傷つけるしミソジニーによって多かれ少なかれ理不尽に女を排除するし、その弊害は絶対に忘れちゃいけないんですが、こうして物語としてパッケージングされた時、外から見て美しいのは事実なんですよね。罪だ……

これ、ジャンル分けしろとなるとヤクザ映画に分類されると思うんですが、この映画におけるマフィアとか銃撃戦とかって、思い切ったことを言うと、全部この二つの兄弟の愛憎を描くための部品、道具に過ぎないと思うんですよね。なんかカッケえヤクザ映画が始まったな、と思ってワクワク観ていると、その全ての要素がラストのふたりの男の後ろ姿に集約されていくことに気づく。「何を描きたいか」ってのが制作段階から非常に明瞭で、そこから逆算してついでに思いつく限りのカッコいいカットを詰め込みまくってできた映画なんじゃないかなあと。

ちなみに私、ⅡもⅢもまだ観ていません。観ていません。なんかⅠがあまりに美しく終わったので、こっから何付け足すのよ? 続編でコケてたら嫌だなあ……と思ってしまいまして。でも折角だし、2020年中に観る覚悟を固められたらなと思っています。

 

インタビューウィズヴァンパイア

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア [DVD]

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア [DVD]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • 発売日: 2010/04/21
  • メディア: DVD
 

揺らめく蝋燭の灯、天鵞絨のカーテン、暗闇の中浮かび上がる影、飜る長髪、狂おしいピアノの音色……老いと死を棄て生き血を啜る吸血鬼のなんと美しく官能的なこと!「映像に酔いしれる」映画体験とはまさにこのこと。

個人的にヴァンパイアと言われ思い出すのは「ポーの一族」なんですが、やはり本作も不死の体を手にした故の孤独が際立つ。クローディアの血を吸ったのは孤独な身の上を咄嗟に重ねた為だろうし、二百年吸血鬼として生きながらもインタビュアーを殺せなかったルイは未だに人間の心を捨てきれていなくて、その危うい未熟さこそをレスタトは愛したのだろうと思いました。

エンドロールでめっちゃノリノリの「イマドキ」なロックが流れて、作風との乖離っぷりにちょっと笑ってしまったのだけれど、多分あれも計算なんですよね。二百年で馬車は自動車に、ピアノの演奏はカーステレオのロックンロールに。不死の彼らは時代の流れを見つめ生き続ける。これまでもこれからも。

 

滝を見にいく

滝を見にいく [DVD]

滝を見にいく [DVD]

 

何かを始めるのに早いも遅いもない、とか、よく言われますよね。これは本当にその通り。ついでに言えば、青春を楽しむのにだって、年齢も異性の存在も関係ない。これは、“おばちゃん版“青春映画。

最初はよそよそしかったり連れだけで固まっていた七人のおばちゃんたちが、仲違いをやりながら、でもどんどん仲良くなっていく。あだ名で呼びあったり、誰にも言えなかった心のしこりを打ち明けたり。

ずっと仲が悪かったふたりの女が煙草を分け合うシーンが最高。今どうなってんのか知らないが、何年か前にWHOが喫煙描写のある映画を制限するんだかしないんだかってニュース見た覚えがあるんだけど、「煙草ちょうだい」の一言ですべてが物語られるこのシーンを観てなおそれが言えるならすげえ頭でっかちのつまんない奴だなと思う。

大縄したり、草相撲したり、ほんと七人とも女学生に戻ったみたい。清々しくてのんびりしててハッピーな映画でした。

 

ラヂオの時間

ラヂオの時間 [DVD]

ラヂオの時間 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2000/09/21
  • メディア: DVD
 

まずゴッドファーザーネタを織り込んだことで私の中の評価がうなぎのぼりになった。観てて真っ先に思い出したのはカメ止めだけど、実際に影響関係があるのね。

生放送という制約下ゆえ、途中で何が起ころうととりあえず中断することなく放送しなければならない。クオリティよりその場をどう凌ぐか。紛れも無いモノづくり礼賛映画だが、モノは芸術、ではなく商品。クオリティよりまず納品。カメ止め観た時、そこに新しさを感じたんだが、20年前に同じことやってたのね。

演者のワガママ、スポンサーへの忖度、次々出てくる矛盾や綻び。妥協に妥協を重ね、それぞれが多かれ少なかれヤケになったり大人らしい諦めをして、でも最後の最後で、最高はもう無理だけど、今できる最善をやろう、最良のモノを作ってやろうという心意気と意地と連帯にグッときた。

芸術っていうのは自由で放埓であることが良しとされるけれど、カネが絡んだ瞬間そうではなくなる。オナニーでは、いくら気持ち良くてもメシは食えない。妥協をし諦観を覚えながらも、それでも譲れないものにしがみついた時生まれるのが、創造性ってやつじゃないのかな、とふと。

で、これって紛れもない青春映画だよなあと。何かをつくるって、楽しいだけじゃない。ツラかったりキツかったりする。あっちこっち駆けずり回って、不本意に頭を下げることも、ポリシーをドブに捨てざるを得ないこともある。そうして出来上がったモノは本当にしょうもなかったりするんだけど、でも聴いていたトラック運転手が握手を求め号泣したように、見ててくれる人が、評価してくれる人が絶対いる。いてくれ、っていう、ここは三谷監督はじめ製作陣の祈りじゃないかな。すごく楽しい100分でした。

あと、「上を見上げる」って言うよね……?私は言う。

 

そうして私たちはプールに金魚を、

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自分たちが何者にもなれないことは彼女たちにははっきり分かっていて、そうであることに抗う気も大してなくて、むしろ何者でもないからこそこの四人のありふれた中学生たちは無敵で、何でもできたんだろうな。何も持ってない奴が一周回って一番強い、みたいな。失うほどのものがないから。

このように、本作で当たり前のように自分と世界に絶望している中学生をフィルムに焼き付けた長久監督だが、その後、初長編作品である「ウィーアーリトルゾンビーズ」では、「絶望」を「ダサいもの」と一刀両断し、ではどう生きるか、というテーマに向かい合っていて、内からも外からもアップデートされたのが窺えて嬉しくなった。個人的にこの監督の感性がすごく刺激的で好きなので、今後どんな作品が生み出されるのか、最も注目したい作り手のひとり。

 

フェイク

徹頭徹尾、結ばれない運命のふたりの男の人生が一瞬だけ交わったときのきらめきとか、哀愁とか、カッコよさとか……ロミジュリか? ってぐらい切なくて堪らなかったんですが、とりあえず、スーツにガラの悪い柄シャツ合わせんのカッコよすぎか??? と発狂し、H&Mで手頃な柄シャツを調達してきた挙句、コスプレをしました。

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なんていうか、見苦しい自撮りで大変申し訳ないのですが、妙齢の女をチンピラコスプレに駆り立てるだけの力がこの映画にあるのだと伝われば幸いです。

誰も知らない

誰も知らない [DVD]

誰も知らない [DVD]

 

じわじわと苦しかった一本。母親の不在が長引くにつれ、もう帰ってこないと気づくにつれ、柳楽優弥がどんどんどんどん悟りきった表情になってゆくの、キツかった。彼だけでなく妹、弟たちも時間の経過とともに、何かを諦めたような顔になっていくのも。諦めたままその日その日を生きる事も。

柳楽優弥がなんと言おうと彼らは然るべき機関に然るべき保護をしてもらうべきなんだけど、不登校の女学生やこっそり残飯くれるコンビニの兄ちゃん、ご近所さんといった「何も知らない」人たちの軽率な善意が結果的に彼らを追い詰めるの、ほんとキツいですね。親切にしてもらえればその日を凌げてしまうから、もう行政に頼るしかない、っていう本来真っ先に飛びつくべきフェーズにギリギリのところで行き着けないので。

YOU演じる母が出て行った一番の原因は、男が出来たからではなく、多分それゆえのネグレクトを柳楽優弥に非難されたからで、子は鎹なんかになれないし、寧ろ母としての意識が希薄な女は子を足枷としか見る事ができず、男と長続きしないのもきっと多かれ少なかれ子供の存在が荷物になっていたのだろう。辛い……。

ベランダの鉢植えとか服の汚れ方とか剥げ落ちてゆくマニキュアで時間の経過をさりげなくかつ明確に観客に提示するのが巧くて、ほんとちょっとした技巧だと思うんですけど、そこが出来てない映画が洋の東西問わず多いので、日本映画界を背負って立つ監督とはこういうものか、と感服した。とにかく出来が良いので、定期的に摂取したくなる劇薬って感じ。


ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

個別記事に書いたことが全て。原作があるようなので、近々読みたい。


ぐるりのこと。

ぐるりのこと。 [DVD]

ぐるりのこと。 [DVD]

  • 出版社/メーカー: VAP,INC(VAP)(D)
  • 発売日: 2009/02/25
  • メディア: DVD
 

時間にしか、ただ日々を重ねていくことでしか、解決できないことってあるよなあと。ただ隣にいること。背中をさすること。病めるときも健やかなるときも、共に歩むということ。

本屋で泣き崩れるシーンは白眉。個人的には「万引き家族」の安藤サクラの泣きの演技を凌駕する。

鬱病を病気として殊更強調するんでなく、あくまで乗り越える必要のある沢山の事柄のうちの一つとして描いているのも良かったです。辛いんだけど、彼らが彼らのスピードでゆっくりと再生してゆくさまがどこか心地よかった一本。

 

華麗なるギャツビー

華麗なるギャツビー [Blu-ray]

華麗なるギャツビー [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • 発売日: 2014/05/02
  • メディア: Blu-ray
 

これは本当になんでもそうなのだが、原作を映画なりアニメなりにメディアミックスした時、そこには何かしらのクリエイティブな要素の付加があると思うんだが、私たち観客はその制作過程を知らない(知ることができない)ので、どこまでが原作の力で、どこからがメディアミックス後の力なのか、判別できずに困ることが往々にしてある。

だがこの作品は、その「付与されたクリエイティビティ」をかなり明確に判別・意識できる、稀有な映画だ。何故か。とにかく演出が盛り盛りなんである。パーティのシーンなんか、これ以上ないほど作り込まれている。反面、デイジーとの逢瀬や駆け引きといったエモーショナルな部分はかなり粗が目立つ。なんだか間延びするし、説明的な台詞が多く、中だるみしている印象が否めない。つまり、豪華絢爛な演出は「メディアミックス後の力」で、かったるい人間ドラマは「映画制作の力が及ばなかった部分」と、判別がかなり容易なのだ。

で、私はというと、雑なヒューマンドラマ部分にはさっさと見切りをつけ、かわりに豪奢な映像に酔いしれた。映像の力とはすごいもので、それだけでこの尺の長い作品を最初から最後まで楽しむことができた。私が下半期20本のうちの一本にこの映画を選んだのも、あの映像あってこそだ。繊細な心理描写については原作がちゃんと担ってくれているので、映画では映像に力を全振りするというのも、ある意味賢明な選択なのかもしれない。ディカプリオはいつ見ても顔パンパンでカッコいいと思えたことが一度も無いのだけれど、スター性は確かで、こういう役はよく似合う。

 

ひまわり

ひまわり HDニューマスター版 [DVD]

ひまわり HDニューマスター版 [DVD]

  • 出版社/メーカー: エスピーオー
  • 発売日: 2009/12/02
  • メディア: DVD
 

ひまわりというと、真夏の景色を太陽のように彩る陽気な花というイメージがあったのだが、哀愁と喪失感あふれる音楽や映像にこの題がすごくしっくりとマッチしていて、既存の凝り固まった価値観に左右されずモノづくりができるというのは、プロフェッショナルのプロフェッショナルたる所以なのだなと思った。

常に唇を真一文字に引き結んで、あくまでキビキビと歩き喋るジョヴァンナ。その姿は休暇中幸せそうにアントニオと愛し合っていた時のそれとはまるで別人で、きっと気を強く持たないと心が押し潰されそうだったのだろうと想像したら、こちらまで胸が苦しくなった。

ロシアで汽車から降りたアントニオと再会し逃げる様に汽車に乗り込み嗚咽するジョヴァンナの姿、そしてお互いがもう家庭を築いておりもう元の関係には戻れないことを静かに悟る二人の姿を、カメラが順番に映していくにつれ、その胸の苦しさは自分の中でどんどん大きさを増していった。辛かった。

広い広いひまわり畑の下には、数えきれないほどの戦死者が眠っている。無数の十字架が一面に広がる墓場の下にも。今も戦争が終わらないこの世の中で、ジョヴァンナとアントニオのような二人は一体幾人居るだろう。誰も悪くないなかで、誰もがたくさんの哀しみと諦めを知る。月並みな言葉だが、戦争というものの愚かしさを嘆くほかない。

しかし、愛読してる大槻ケンヂのエッセイで盛大なネタバレを食らってしまっていたので、大槻ケンヂに罪はないとはいえ、何も知らない空っぽな状態で観れていたらきっと衝撃も辛さも段違いだったのだろうなと、そこが悔しかった。……♫夢で逢えるわ 夢で逢えるの 心の持ちようね おやすみなさい……

 

渋滞

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ブリリアショートショートシアターオンラインで観た作品(この映画は現在は非公開)。

20分という短い尺ながら、下手な二時間の映画よりよっぽど面白い。二転三転する犯人探しに観ているこちらも飲まれているうちに、訪れるラストの衝撃よ。

また観たいんだが、再度公開してくれないだろうか……。

 

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う [DVD]

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う [DVD]

  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • 発売日: 2017/09/22
  • メディア: DVD
 

突然の妻の死を前に、悲しむこともできず、ただ取り憑かれたように破壊を繰り返す主人公。

正直言って意味はわからない。主人公の行動原理も、なぜ悲しめないのかも、見つけたメモの意味も。

それでいいのだ。これは「分からないことに価値のある映画」なのだと思う。賢しげに「主人公は本当は悲しんでいるんだ、自分で気づかないだけだ」とか「モノを壊すことで主人公はこれこれこういう救いを得ているのだ」とか言う観客にだけはなりたくない。人の気持ちなんて分からない。自分の気持ちだって分からない。感情にいちいち律儀にラベル付けなんてしなくていい。人に説明してやる必要もない。これはそのことを確認するための映画。

 

セトウツミ

セトウツミ [DVD]

セトウツミ [DVD]

  • 出版社/メーカー: Happinet
  • 発売日: 2016/12/02
  • メディア: DVD
 

これはもう完全にただの趣味です。ウツミみたいな男の子、しゅき(IQ20)。というか池松壮亮さんがしゅき。ドラマ、役者違うみたいだけど評判良いので近いうち観ます。

 

まぼろしの市街戦

 

まぼろしの市街戦≪4Kデジタル修復版≫ [DVD]

まぼろしの市街戦≪4Kデジタル修復版≫ [DVD]

 

戦時下、爆弾が仕掛けられ住民が避難した街に命を受け潜入した主人公が取り残された精神病院の患者たちと出会うシニカルでポップな反戦映画。医者と看護師どこ行ったんだよとツッコミたくなるがそこはフィクションフィクション。患者たちが思い思いにはじめる演戯と仮装がまず目に心に楽しい。

患者たちはとことん刹那的・快楽主義で、戦争の作戦の真っ只中に置かれてもそれは生き生きと楽しそうなのだけれど、狂人と呼ばれ、それぞれが好きなことを好きなように楽しむ彼らと、統率され、出くわすなりお互い全滅するまで撃ち合う軍人たちと、本当の狂気はどっちだ?! という問いを真っ直ぐ突きつけてくる。まあ、もっと突き詰めると、いかな軍隊とて、戦時下にいる時点で異常な状況なんだから、どっちが正気もクソもないでしょとは思ったけど。正気なんかどこにも無くて、多数派の狂気と少数派の狂気があるだけ、と言った方が適切かな。

まごうことなき戦争映画であり反戦映画なのだが、殺し合うことの残酷性からではなく、人生を楽しむことの幸福性から反戦のメッセージを訴えかける制作態度が好み。精神的にキツいために戦争映画が苦手な私でも疲れることなく鑑賞できた。子どもに観せたい戦争映画だな。

……ただ純度100%の理想主義ゆえの危険性もあり、たとえ楽しむつもりでも人が集まると本人達の意図に反して起こるのが対立であり、この延長上に戦争はあるわけで、ではどうすればいいかといえばそれは深い対話以外ないわけだけど、そこをすっ飛ばして「人生楽しも!」とだけ言ってしまうのは若干危ういとは思った。

戦争映画に詳しい友人に薦めてもらって観たが、人を食ったような雰囲気といい絶妙にオシャレな衣装といい、オールタイムベスト級に好みの作品だった。ノリは同じくフランス映画「地下鉄のザジ」に通ずるところがあったな。(フランス映画たいして観てませんが……)

 

タクシー運転手 〜約束は海を越えて〜

タクシー運転手 約束は海を越えて [DVD]

タクシー運転手 約束は海を越えて [DVD]

  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • 発売日: 2018/11/02
  • メディア: DVD
 

ドイツ人ジャーナリストを報酬目当てで乗せたタクシー運転手が、光州事件の凄惨さを目の当たりにし、煩悶しながらも正義に目覚めていく。「自分にできることは何なのか」を考えろ、と常に突きつけてくる作品だった。

主人公は、父子家庭で生活に追われ、世の中のことにさして目を向けずに生きてきた人物。それはきっと私たち観客とほとんど同じ目線。意識を高く持ちアンテナを張ってる人もいるけど、大概はただの一般人。だからこそ彼のものの見方の変化は、そのまま自分たちがどう変われるかということでもあって。

情報規制で実情が分からなかったとはいえ、主人公は序盤、デモ隊の学生を見て「学生は勉強してろ」と言い放ったりする。これは「まさに」な台詞で、実際、数年前日本で安保法案の際に立ち上げられた学生団体に対して、少なくない人数がこの言葉をぶつけたのは記憶に新しい。現実に即した映画だと感じた。

カーチェイスは確かにリアリティ無いが、ピーターがカメラを回し、マンソプが怪我人の救助に行ったように、色んな人が置かれた立場でそれぞれの最善を尽くしたことを、映像として最大限わかりやすくかつ映える形で表したのがあのカーチェイスだったのではないか。マンソプやピーターはきっと沢山いた。

自分が目撃したことに対して、問題意識を抱いたことに対して、自分は何ができるのか。見つけるのは難しいけど、大勢の小さな勇気の連鎖できっと世の中は変えていける。ずっしりと重い、大切なバトンを渡された思いだった。

 

耳をすませば

耳をすませば [DVD]

耳をすませば [DVD]

  • 出版社/メーカー: ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
  • 発売日: 2002/05/24
  • メディア: DVD
 

カントリーロード」のセッションの場面と、そしてなにより、書いた物語をおじいさんに読んでもらうシーンで、恥ずかしながらぼろぼろ泣いてしまった。夢を追いかけること。好きな人に相応しい自分になりたいと思うこと。登場人物みんな誰もが何かを頑張っていて、誰かを想っていて、今までジブリってあまり観てこなかったけれど、こんなにきらきらした物語だなんて。カントリーロード、いい歌詞。

 

キサラギ

ユースケサンタマリア目当てで観たけどめちゃくちゃ面白かった。脚本が巧みすぎ。キャラがストーリーに作用して、と思ったら次はストーリーがキャラの印象をガラリと変えていく、の繰り返しで気が付いたら二時間経ってた。伏線がガンガン回収されていくのも気持ち良すぎる。めちゃくちゃ練られた脚本、しっかり堪能しました。しかしユースケサンタマリアはかっこいいですね。

 

ハウルの動く城

ハウルの動く城 [DVD]

ハウルの動く城 [DVD]

 

不思議な作品だなあと思いながら観ていたが、終わってみればこれ以上ないほどの真っ直ぐなボーイ・ミーツ・ガールで、宮崎駿フィルモグラフィーのなかでもこれは相当に好きな部類だった。世界観が大好き。説明不足を説明不足と感じさせぬ手腕は流石と言う他ない。

前作である千と千尋との類似点がいくつもあったんだけど、わざとなんだろうか?

……こうしてみると大好きな映画なのにも関わらずどこがどういいとか、なぜいいとか、全然言葉にならないんだが、言語化できない「好き」こそ意識して大切にしていきたいです。

 

アンタッチャブル

ショーンコネリーの死に様カッコいい、アンディガルシアの撃ち様カッコいい、そしてケビンコスナーの去り様カッコいい。王道を往くエンターテイメントゆえ、暗い重い話が好きな自分としては物足りなく感じる部分もあるとはいえ、これだけ面白くちゃ文句なしですね。


まとめ

というわけで2019年下半期、135本中の20本でした。このエントリを書きながら自分の文章力・言語化能力の無さに絶望したので、今年は鑑賞本数減らしてでも、一作一作に向き合い言葉にする時間を大切にしたいです。

2020年も良い映画に出会えることを願って。